「太りやすい」「痩せにくい」「体が冷えやすい」などの悩みを抱えている方は、その原因が基礎代謝にあるかもしれないと感じていることでしょう。
基礎代謝を上げれば、太りにくい・痩せやすい体になれるだけでなく、あらゆる病気を予防することにもつながります。
そこで今回は、基礎代謝の基本的な知識から、基礎代謝を上げる方法などを解説していきます。基礎代謝を下げてしまう原因についてもご紹介しているので、ぜひ最後までチェックしてください。
基礎代謝について
基礎代謝とは何か、基本的なことについて理解しておきましょう。
基礎代謝とは?
「基礎代謝」とよく聞くと思いますが、代謝には3つの種類があり「活動代謝」「食事誘発性熱産生」「基礎代謝」と分けられます。
活動代謝とは、運動や家事など体を動かすことで消費されるエネルギーのことで、食事誘発性熱生産とは、食べた物の消化によって消費されるエネルギーのことです。
そして基礎代謝とは、座っているときや睡眠中にも行われるエネルギー消費のことで、最も多くのエネルギーを使う代謝と言われています。
呼吸をしたり心臓を動かしたりしているときも消費されており、効率的にエネルギーを消費するためには、この基礎代謝を上げることが理想とされています。
基礎代謝は加齢とともに低下していくものですが、適度な運動や健康的な生活習慣を心がけることで、代謝を上げることができます。代謝の高さは体質や遺伝的な要因も大きいですが、その人のライフスタイルによって変化するものでもあるのです。
そのため、基礎代謝を上げるための生活習慣を実践することで、太りにくく痩せやすい体質になり、体温も上がり血流も改善されて、美しく健康的な体をつくることができるでしょう。
基礎代謝が高い人と低い人の差
同年代の中でも、「あの人はたくさん食べても太らないなぁ…」と思う人はいませんか?そういった人達は、もともと基礎代謝が高い傾向にあります。
体質だから変えられないと思う方が多いですが、いくら代謝が高くても不規則な生活を送っていたら太ってきたり不健康になります。逆に、太りやすい方でも代謝を上げる生活習慣を実践すれば体質を改善することができるでしょう。
その人の活動量や筋肉量など、さまざまな要素から影響を受けるものなので、普段の動作の中に運動を取り入れて筋肉量を増やしたり、健康的な食生活を実践したりすることで、基礎代謝は変化していきます。
基礎代謝を上げたい方は、1日に消費するエネルギー量を上げるために行うべきことを理解するようにしましょう。
基礎代謝に影響する要因は?
いくつもの要素が基礎代謝量に影響を与えているため、同じ年齢や性別、身長、体重でも代謝量は異なります。
そのときの体調や気温などの環境によっても変化するものですが、基礎代謝に関わる考えられる要因をまとめたので、以下の表を参考にしてみてください。
体表面積 | 体表面積が広いと体表面からの放熱量も多くなるため、身長が高い人や体格がいい人は基礎代謝が高い |
年齢 | 若い人の方が、体内代謝が活発で運動量も多い傾向にあるので、基礎代謝が高い |
性別 | 男性の方が、代謝が活発な組織(筋肉など)の量が多いため、女性よりも基礎代謝が高い |
体格 | 脂肪質の人に比べ、筋肉質の人は基礎代謝が高い |
体温 | 体温が1℃上がるごとに代謝量は13%増加するとされるため、体温が高い人の方が基礎代謝は高い |
ホルモン | 甲状腺ホルモン・副腎髄質ホルモンの分泌量の多い人は、そうでない人と比べて体内代謝が活発で基礎代謝が高い |
季節 | 一般的に、基礎代謝は夏は低くなり、冬に高くなる |
月経 | 女性は、女性ホルモンの分泌量の変化が体温に影響を及ぼすため、月経開始2~3日前に基礎代謝量が最も高く、月経中に最も低くなる |
男性、女性、年齢別の基礎代謝量は?
活動をせずにじっとしている際でも、一般成人男性は約1,500kcal、女性は約1,200kcalのエネルギー消費(基礎代謝)を1日に行っています。
男女それぞれの年齢別の基礎代謝量の目安をまとめたので、カロリー摂取量を調整する際などに参考にしてください。
男性の基礎代謝量の目安
1~2歳 | 700kcal |
3~5歳 | 900kcal |
6~7歳 | 980kcal |
8~9歳 | 1,140kcal |
10~11歳 | 1,330kcal |
12~14歳 | 1,520kcal |
15~17歳 | 1,610kcal |
18~29歳 | 1,500kcal |
30~49歳 | 1,530kcal |
50~69歳 | 1,400kcal |
70歳以上 | 1,290kcal |
女性の基礎代謝量の目安
1~2歳 | 660kcal |
3~5歳 | 840kcal |
6~7歳 | 920kcal |
8~9歳 | 1,050kcal |
10~11歳 | 1,260kcal |
12~14歳 | 1,410kcal |
15~17歳 | 1,310kcal |
18~29歳 | 1,110kcal |
30~49歳 | 1,150kcal |
50~69歳 | 1,100kcal |
70歳以上 | 1,020kcal |
基礎代謝を上げる方法
基礎代謝を高い状態で維持することで、1日のエネルギー消費量が増えます。基礎代謝が上がると、太りにくい体になったり病気を予防することができたりなどの恩恵をもたらしてくれます。
基礎代謝を上げるための方法をご紹介するので、少しずつ実践してみましょう。
食べ物に気を付ける
体温が1℃上がるごとに代謝量は13%増加するとされるため、体温を上げる食物は基礎代謝の向上に役立ちます。
基礎代謝が低い方は、無意識のうちに体を冷やしてしまう食べ物を選びがちです。今の時代、スーパーやコンビニには冷たいスイーツや飲み物、添加物が入った甘いお菓子などの体を冷やす食べ物がたくさん売られています。
それらの食品は体を冷やし代謝を下げてしまうことを知らずに、日常的に口にし体を慢性的に冷やしてしまっている現代人は少なくありません。
体内の化学反応を活性化したり、血流を改善したりして、代謝を良くする食べ物もあります。さらに、基礎代謝には筋肉量が大きく関係しているため、その原料となるタンパク質を豊富にとることも大切です。基礎代謝を上げたい方は、以下のような食材を選ぶようにしましょう。
料理 | お味噌汁 スープ 煮物 おかゆ 雑炊 煮込み料理 |
食材 | 梅干し らっきょう 漬けもの 玄米 根菜類 かぶ れんこん 玉ねぎ キャベツ 白菜 長ネギ パセリ ブロッコリー ナッツ類 うなぎ 鶏肉 アマニ油 MCTオイル 卵類 肉類 豆類 |
飲み物 | 白湯 紅茶 プーアル茶 烏龍茶 たんぽぽ茶 ごぼう茶 黒豆茶 ショウガ湯 |
調味料 | 生姜 ニンニク 唐辛子 ターメリック |
質の高い睡眠をとる
基礎代謝を上げるために、重要な習慣となるのが「質の高い睡眠」です。睡眠が不足したり質が下がると、代謝を下げてしまう原因になります。
基礎代謝を左右するのが、睡眠中に特に分泌される「成長ホルモン」と呼ばれるものです。成長ホルモンは、睡眠直後に訪れるノンレム睡眠と密接な関係があります。質の高いノンレム睡眠をとることが基礎代謝の向上につながると言われています。
成長ホルモンの分泌が十分でないと、新陳代謝が上手く行われなくなり基礎代謝が減り、その分太りやすくなってしまいます。成長ホルモンは中性脂肪を分解し、筋肉の修復をしてくれる働きするため、冷えると温まりにくい性質がある脂肪を減らし、エネルギーの元となる筋肉を増やしてくれることで消費カロリーが増えます。
つまり、成長ホルモンをきちんと分泌させることが基礎代謝を上げることにつながるのです。
運動、ストレッチを行う
筋肉量を上げることは基礎代謝の向上に非常に有用です。筋トレと、十分なタンパク質摂取により筋肉量を増やすようにしましょう。
運動やストレッチは、血流を促進させることによる基礎代謝アップ効果があります。筋肉量が少ないと、下半身から心臓のある上部へと血液を送る力が弱くなり、血流が悪くなりやすくなるため、日頃から適度な運動やストレッチを行うことが大切です。
また運動やストレッチには、自律神経を整える作用があります。朝起きたら、朝日を浴びながらストレッチをすると、交感神経が優位になり代謝が上がりやすくなります。
日常的に行える適度な運動は、筋トレ、有酸素運動、ストレッチ、ヨガ、HIITなどがおすすめです。自分の合うものを、無理なく継続していくことが大切です。
入浴をする
基礎代謝を上げるためには、体を温めることが重要です。低体温の方や冷え性の方は、まず体温を上げること、冷え性を改善することを目指しましょう。
そのためには、お風呂に入ったら必ず入浴もセットにしてください。お風呂のお湯につかって、じっくり体を芯から温めます。目安は、額に汗が出てきてから10分程度浸かるのが望ましいです。ですが、具合が悪くなるまで我慢するのは危険なのでやめましょう。
「半身浴」は、全身浴ほど体に水圧がかからないため、体への負担が少なく長時間お湯につかっていられることがメリットです。毎日行うことで、低体温や冷え性も改善されていくでしょう。
血流も促進され老廃物が流れやすくなり、デトックス効果も上がります。前の項でも述べましたが、入浴によって睡眠直後のノンレム睡眠の質も上がりますので、一石二鳥です。
新しいことに挑戦する
基礎代謝を上げるには、意外かもしれませんが脳を働かせることも重要です。なぜかと言うと、脳は基礎代謝のうち約20%を消費していると言われているからです。
脳の働きは、新鮮な刺激を受けることで高まっていきます。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の「五感」と呼ばれる感覚刺激や、運動によって脳が筋肉を動かす信号を送ることによう刺激も該当します。
初めて来た場所でウォーキングをすることなどは、脳に刺激を与えることができ、代謝を上げるだけでなく認知症を予防・改善する効果が期待されます。
- 新しい場所に出かける
- 聞いたことのない音楽を聴く
- 食べたことのないものを食べる
- 動物と触れ合う
毎日同じことの繰り返しだと、脳への刺激が少ない日々が続いてしまうので、常に新鮮な刺激を求めて日々を過ごすと良いでしょう。
基礎代謝が下がってしまう原因
基礎代謝が下がってしまう主な原因を解説いたします。
現代人特有の体の冷え
冷たくて甘い飲料や、砂糖を大量に使ったお菓子やジュースやコーヒーが、手軽にコンビニやスーパーで買えるようになってしまったので、現代人は体が冷えやすくなっています。
白砂糖や小麦粉、コーヒーは体を冷やす代表的な食材で、食品添加物も体の冷えに関わっているとされています。低体温の人も増加しており、驚くことに、江戸時代の日本人と現代の日本人では体温の平均が1℃も違うと言われています。
冷えの原因として考えられるのは、主に以下のような環境が挙げられます。
- 現代人の不規則な食生活
- 食品添加物を使った食品の流通
- クーラーなどが効き過ぎた場所が多い
- 湯船につかる習慣の低下
忙しい日常に加え、便利なインスタント食品や嗜好品、快適過ぎる環境を求める人が急増していることが、現代人の体温が下がっている大きな要因と言えるでしょう。
加齢や運動不足による筋肉量の減少
基礎代謝は、およそ10年で1~3%程度減少すると言われており、特に男性では40歳代、女性では50歳代に大きく減少する傾向があります。女性の基礎代謝が50歳代に大きく減少するのは、閉経後に除脂肪組織が減少するためだと考えられています。
年齢を重ねるごとに徐々に低下していく基礎代謝ですが、加齢以外にも運動不足による筋肉量の減少が主な原因とされています。
若い頃に比べると、多くの人は運動量が少なくなる傾向にあります。それにより筋肉量が減少すると、その分基礎代謝も低下し太りやすくなったり体が冷えて病気を発症する確率も上がります。
肥満や体の冷えは、糖尿病や高血圧など、さまざまな生活習慣病の原因となります。病気を予防するためにも、年を重ねても適度な運動を行い筋肉量を維持することは重要です。
過剰な食事制限
過剰な食事制限を行うような無理なダイエットをすると、体がエネルギー不足となり筋肉が分解されやすくなってしまいます。すると筋肉量が低下し、基礎代謝が落ちてしまうのです。
食事制限を行い一時的に体重を落とせたとしても、それは体の水分が抜けたり筋肉量が減ったことによるものなので、健康的に痩せたとは言えません。
短期的ではなく長期的にスリムな体型をキープしたいのであれば、基礎代謝を上げながら健康的に余分な脂肪を燃焼していくダイエットを行うと良いでしょう。
体を冷やす食べ物を避け、体を温めてくれるものを摂取し、適度な運動を行い規則正しい生活習慣を意識することで、自然と痩せやすい体質になっていきます。
まとめ
基礎代謝について基本的なことを理解し、自身の体質や生活習慣から、同年代より基礎代謝を保てているかどうか客観視することができたかと思います。
基礎代謝を上げる方法や、基礎代謝を下げてしまう原因について把握したら、自分の生活習慣の中でひとつずつ実践してみてください。基礎代謝を上げて、健康的に美しく、病気を寄せ付けない体を作っていきましょう。