2022.12.06

食事・栄養

体を温める食べ物とは?|見分け方やおすすめ料理もご紹介!

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鈴木 陽

麻酔科医/抗加齢医学専門医

いつも「手足が冷たい」「肩こりや腰痛がひどい」「生理痛がつらい」などの症状に悩まされている女性は少なくないでしょう。

体を冷やすと血流が悪くなるだけでなく、体が強張って緊張状態になったり、あらゆる病気の元になったりと悪い影響は数知れません。

それらの症状を解消するために、体を緩めてくれる食べ物や飲み物をご紹介します。体を内側から温め、緊張せずリラックスした状態で日々を過ごし、病気を予防していきましょう。

体の冷えは、食べ物や飲み物で解消できるの?

低体温や冷え性に悩む方は、日頃の食べ物や飲み物が影響しているかもしれません。まず、体の温度と口にするものの関係を理解しましょう。

食べ物や飲み物によって体の温度は変化する?

何を食べるか、何を飲むかで人の血液の質や流れが変わります。血行を良くしてくれる食材は、手足の先まで血液を運ぶ手伝いをしてくれるので、体が冷えるのを予防・改善してくれる効果があります。

例えば、唐辛子の多い韓国料理を食べて、汗が吹き出したり、しばらく体が熱くなる経験をしたことがありませんか?これは、唐辛子のカプサイシンが血液の流れを促し、手足の先まで血を巡らせることで、体を熱くする働きがあるためです。

このように、その食材がもつ栄養の特徴によって、それを食べた人の体温に影響が表れるのです。

体を冷やすことは良くないの?

体を冷やすことは、体へのストレスになります。慢性的な疲れやだるさに悩まされることがあるとしたら、それは一般的に「冷え性」と呼ばれるものでしょう。

この「冷え」は、女性がなりやすいもの、ちょっとした体の不調と思われがちですが、実は万病の元です。ガン、脳血管障害、心疾患など、あらゆる病気の原因ではないかと言われています。

「冷えは体質」「治らない」と思っている方は、日々の食生活や習慣を見直し、冷えを取る努力をしなければ、取り返しのつかない病を引き起こす恐れがあります。

冷えはどうして起こるの?

冷えの原因として考えられるのは、主に以下のようなが原因が挙げられます。

  • 運動不足による筋肉量の減少
  • 現代の食事によるもの
  • クーラーなどが効き過ぎた環境が多い
  • 湯船につかる習慣の低下

冷たい飲料を日常的に飲んだり、砂糖を使った甘いお菓子やジュースやコーヒーが手軽にコンビニやスーパーで買えるようになってしまったので、より体の冷えの問題が身近になってきています。

低体温の人も増加しており、驚くことに、江戸時代の日本人と現代の日本人では体温の平均が1℃も違うと言われています。

体を温めることが大切な理由

体を温めると、血流が良くなり末端神経まで血液が行き届くようになります。すると、今まで手足が冷たかった人の冷えが改善されたり、低体温の人の体温が上がることが期待できます。

体温が上がると免疫機能を高めたり、基礎代謝が上がって痩せやすい体質になったり、肌の調子が良くなったりなどの健康効果、美容効果の両方をもたらしてくれます。

このように、体を温めることによる恩恵は計り知れないので、体は決して冷やすべきではないのです。

 

体を温める食べ物は何があるの?

私たちがよく利用するスーパーやコンビニには、体を冷やす食べ物が売られています。それらを知らないがために、習慣的に口にし、知らず知らずのうちに体を慢性的に冷やしてしまっている人は少なくありません。

体を温めたい方は、以下の食材を選ぶようにしましょう。

食べ物 お味噌汁 煮物 おかゆ 雑炊 梅干し 玄米 そば 根菜類(特に山芋)かぶ らっきょう 蓮根 玉ねぎ 冬キャベツ 白菜 長ネギの白い部分 パセリ ブロッコリー ぶどう りんご 柑橘類 アセロラ パプリカ ナッツ類 うなぎ 鶏肉 なたね油 アマニ油
飲み物 白湯 ジンジャーチャイ ハニージンジャーティー 紅茶 プーアル茶 烏龍茶 たんぽぽ茶 ごぼう茶 ココア 黒豆茶 ショウガ湯
調味料 黒砂糖 塩 生姜 ニンニク 唐辛子 ターメリック

体を冷やすもの、身体を温めるものの見分け方

現代社会には、体を冷やす食べ物が多く存在します。意外かもしれませんが、お菓子や加工食品添加物の多いお惣菜などは体を冷やしてしまう性質があります。ですので、それらの食事はなるべく避けることをおすすめします。

ここから、体を冷やすものと温める食材の特徴や、その見分け方を詳しくご説明いたします。

いつが旬の食材か

昔から、寒い冬には体を温める果物や野菜が育ち、暑い夏には体を冷やす食べ物が育つという特徴があります。

冬は、より体に熱を吸収して蓄える必要があるため、体を温める果物や野菜が育ちます。逆に夏は、体を冷やして夏バテや疲労回復効果の高い果物や野菜が育ちます。

日本は四季が豊かなので、冬はカブ、白菜、大根、生姜、ネギなどが育ち、夏はきゅうり、トマト、なす、ゴーヤ、オクラなどが育ちます。季節ごとに旬の食材をいただくのが体温調節に役立つと言えるでしょう。

地面の上・下どちらで育つか

冬に育つ食材は、地面の下にできるものが多いという特徴があります。土の中で育つ根菜類は、水分が少なく体温を維持するのに必要なミネラルが凝縮されているのです。

根菜類は煮込み料理に使うことが多いので、体を温めてくれる料理にぴったりの食材であることも理にかなっています。

反対に、夏に育つ食材は、地上に姿が出て風通しも良い地面の上にできるという特徴があります。夏野菜には水分やカリウムを豊富に含んでいるものが多く体にこもった熱を体の中からクールダウンしてくれます

生で食べられるものが多いので、夏に不足しがちな栄養素を簡単に補給できるのが夏野菜の良いところです。

発酵食品

発酵食品、味噌や納豆、漬物などに含まれる酵素は体の代謝を良くしてくれ、体を温めてくれます。酵素は、生の野菜や果物、発酵食品に多く含まれており、消化を助けてくれるので新陳代謝が上がり免疫力もアップするなど身体に良い循環が生まれます。

ただし、酵素は熱に弱いので、できるだけ加熱せずに食べることがポイントです。食物酵素は48°C以上の加熱処理で壊れ始め、55°C以上60%が働かなくなると言われています。そのため、市販の野菜ジュースなどで高温加熱処理されているものは、食物酵素を損なわれている可能性が高いので、野菜や果物は生で摂ることが大切なのです。

お味噌汁にお味噌を溶かすのは仕方ないですが、納豆は熱々のご飯の上にすぐに乗せて食べない、といった工夫をしましょう。

カフェイン

カフェインは少量であれば、午前中に摂取することで代謝が上がることもわかっています。カフェインの1日摂取基準量については、個人差によるところが大きいため、はっきりとは決まっていないようですが、健康な成人で400mg以下がよく言われています。

コーヒー1杯(150ml換算)に含まれるカフェイン量は、インスタントコーヒーでおおよそ80mg、ドリップコーヒーで90mgほどです。

せん茶やほうじ茶などの緑茶系飲料が20mg/100ml、紅茶が30mg/100ml程度のことを考えると、コーヒーは嗜好性飲料の中でもカフェイン含有量は多めと言えるでしょう。

カフェインには利尿作用があり、水分とともに熱が排出されてしまうことから、コーヒーは体を冷やすと言われています。たとえホットで飲んだとしても、利尿作用に変わりはなく体を冷やしてしまうのでコーヒーの飲み過ぎ、カフェインの摂り過ぎには注意しましょう。

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体を温める生活習慣

口にするものだけでなく、体を温める生活習慣もあります。なるべく実践してほしいものをご紹介いたしますので、生活に取り入れてみてください。

早寝早起き

体にエネルギーを蓄えるために、重要なポイントとなるのが「質の高い睡眠」です。睡眠が不足したり質が下がると、体の基礎代謝を下げてしまう原因になります。

基礎代謝を左右するのが、「成長ホルモン」と呼ばれるもので、睡眠中に特に分泌されるホルモンです。この成長ホルモンが分泌される夜10時から夜中2時までは、全身の細胞の新陳代謝が最も上昇する時間と言われています。

成長ホルモンの分泌が十分でないと、新陳代謝が上手く行われなくなり基礎代謝が減り、その分太りやすくなってしまいます。成長ホルモンは中性脂肪を分解し、筋肉の修復をしてくれる働きするため、冷えると温まりにくい性質がある脂肪を減らし、エネルギーの元となる筋肉を増やしてくれることで消費カロリーが増えます。

つまり、成長ホルモンをきちんと分泌させることが体を温めることにつながるのです。

足元を冷やさない

女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、下半身から心臓のある上部へと血液を送る力が弱く血流が悪くなりやすいです。そのため、足元は特に冷やさないように気を付けるべきです。

血流が悪くなると基礎代謝が低下し、体内に老廃物が溜まりやすくなったり病気を引き起こしやすくなります。お尻や太腿などの下半身に老廃物が溜まると、肥満やスタイルが崩れがちになるので、健康と美しさをキープしたい方は、足元を冷やすことは厳禁と言えるでしょう。

なるべく汗をかく

夏になると外が暑くてクーラーの効いた部屋にこもりがち、冬は寒いから出掛けたくないので運動不足に陥りがち、という方は少なくないでしょう。

すると、汗をかかなくなって基礎代謝が下がり、筋肉量も減少してしまいます。筋肉量が下がると体はエネルギーを作り出す力が弱くなるので、余計に冷えやすい体になり寒さを感じやすくなります。

すると動きたくなくなくなって、より引きこもりがちになるなど悪循環になります。なので、1年を通して汗をかくということを意識しましょう。

半身浴

お風呂のお湯につかって、じっくり体を温めたい、汗をかきたいときには「半身浴」がおすすめです。半身浴は全身浴ほど体に水圧がかからないため、体への負担が少なく長時間お湯につかっていられることがメリットです。

半身浴で体を十分に温めるには、額にじんわりと汗が浮かんできてから10分程度入るのが望ましいです。これにより、体の芯まで温めることができ、血流を促進してくれます。

お風呂から出た後、寝る前の準備をしながらリラックスタイムを過ごすうちに体が冷えていき、冷め切る前にお布団に入って眠りにつきましょう。スムーズに眠ることができ、質の良い睡眠が叶います。

 

体を温めてくれる料理

体を温めてくれる食材は、体を温めてくれる料理にピッタリのものが多いです。冬はもちろん、夏でも意識して、以下のような料理を作って食べるようにしましょう。

煮物、煮込み料理

煮物や煮込み料理などの、じっくり火を通して食べる料理と体を温めてくれる根菜類や野菜との相性は抜群です。

ごぼう、にんじん、れんこん、大根などは煮物やおでんにして常備しておくことで、毎日食べられますし、お弁当に入れることもできるので便利です。

白菜やキャベツなどは、生で食べるとたくさんの量を摂取できませんが、煮込むことでたくさん食べられます。カレーやシチュー、お肉やハンバーグと一緒に煮込んで野菜もたっぷり摂取することを意識してみてください。

生姜焼き、ジンジャーチキン

生姜焼きは豚肉だけでなく、鶏肉でも美味しく食べることができます。生姜は体を温めてくれて、基礎代謝をアップしてくれる優秀な食材です。

代謝を上げて脂肪を燃焼してくれるだけでなく、免疫力も上げてくれるので風邪予防にもつながり良いことづくめです。

スープや煮込み料理のスパイスとして使うのはもちろん、炒め物やソテーにも使うことで、毎日生姜を摂取することができます。冬は冷え防止、夏は疲労回復食材としてどんどん活用していきましょう。

具だくさん味噌汁、スープ

毎日飲む味噌汁やスープに、体を温めてくれる食材を必ず入れるようにしましょう。きちんと発酵している味噌を選び、そこに大根や白菜、キャベツなどの食材を入れ生姜を少量すったら完璧です。

さらにキノコを入れると出汁が出て旨味がアップしますし、食物繊維も摂取できます。具沢山の汁物は、それだけで立派な一品になり栄養も効率よく摂れて最高です。

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まとめ

慢性的に体を冷やしていると、肩こりや腰痛、疲労感、ホルモンバランスの乱れの元になります。クーラーの効いた室内に長く滞在する、湯船につからない、汁物を飲まないなど、心当たりのある方は、今日から体を温める習慣を実践してください。

冷えは、あらゆる不調の原因とつながっているので、見て見ぬふりをせず、深刻な問題として受け止めて一刻も早く解消していきましょう。

 

この記事の監修者

鈴木 陽 麻酔科医/抗加齢医学専門医

 
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