「昼食後の眠気がひどい」「仕事や勉強などに集中できない」など、午後からのさまざまなタスクに支障をきたしており悩んでいる方もいるでしょう。
その理由は何なのか、改善する方法があるのかなど、気になることも多いと思います。そこで今回は、眠くなりにくい食べ物や食べ方について解説していきます。
昼食以外の、眠くなりにくい生活習慣もご紹介いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。
昼食後眠くなる理由
お昼ご飯を食べたあとに、急な眠気に襲われる仕組みを解説いたします。
炭水化物などの「糖質」のせい?
糖質は、体内に入るとまず「グルコース」という物質になって、体中の細胞に届けられます。そして、細胞はグルコースを使って体の中でさまざまな活動をするためのエネルギーを作り出します。
このグルコースを運ぶ役目を担うのが「インスリン」というホルモンです。糖質が体内に入ると、「糖質が入ったぞ」という指令が飛んで、すい臓からインスリンがたくさん分泌されます。このとき、インスリンのスパーク(急上昇)が起こるのです。
インスリンがスパーク(急上昇)する!
イメージとしては、港(消化器官)に海外(体外)からたくさんの貨物(栄養)が着いて、トラックターミナルからトラックがいっせいに出発するところを想像してもらえればいいでしょう。
インスリンというトラックは、貨物の中からグルコースという荷物を運び出し荷台に乗せると、血管という高速道路に乗って、体中のあちこちの取引先(細胞)に荷物を届けます。このとき血液中にはグルコースを積んだトラックがたくさん走っているので、血液の中のグルコース濃度、すなわち血糖値が上がります。
脳の動きが悪くなる
インスリンの濃度は糖が入ると一気にスパークしますが、グルコースを細胞内へ運搬するという仕事を終えると一気に急降下します。このとき、血糖値も一気に急降下することにより、血液中のグルコースが不足した状態になります。
エネルギーの源であるグルコースが不足するため、脳の動きが悪くなり眠気を生じます。これが食後に仕事や勉強がはかどらず、眠気が襲ってくる原因です。
昼食後眠くなる食べ物・食べ方とは?
昼食後に眠くなりやすい食べ物、食べ方を解説いたしますので、自分が当てはまっていないかチェックしてみてください。
甘いパンや丼物がメイン
甘いパンやカツ丼などの揚げ物系の丼物は、血糖値を一気に上昇させてしまいます。丼物は、衣に小麦やパン粉を使っているからです。
昼食には麺類やパン、ご飯をメインに食べる方が多いと思いますが、とくに以下のような食事は眠気の原因になるため、食べ方に気をつけましょう。
- 甘い菓子パン類
- カツ丼、天丼などの丼物、またはからあげ定食など
- ラーメン、パスタなどの麺類
- お菓子、甘いもの
これらの血糖値が上昇しやすい食べ物を、食事のメインにしないように心がけると良いでしょう。
食べるペースが早い
いきなり食べ物がたくさん入ってくることで、血糖値が急激に上昇してしまいます。特に、パンや麺類を最初にガツガツ食べることでこの現象が起きます。
メインとなる食事だけでなくサラダやスープもセットにして、最初はこれらを食べ、よく噛んでゆっくり食事をすることで血糖値もゆるやかに上昇してくれるのです。
お腹いっぱい食べ過ぎ
パンや麺類をたくさん食べることで、その分インスリンも大量に分泌されます。そして、グルコースがより不足し、さらなる強い眠気を誘発することにつながります。
パンや麺類でお腹いっぱいにしたときに、とても眠くなった経験がある方も多いでしょう。まずは、サラダやスープ、具沢山の味噌汁などを最初に食べることで、メインの食事の食べ過ぎを防ぐことができます。
昼食後眠くならない食べ方・食べ物
昼食後、比較的眠くならない食べ物、食べ方があります。ぜひ、参考にしてください。
脂質中心の食事にする
人間の体には基本的に2つの状態があり、ひとつは糖質を燃やしている状態、もうひとつは脂質を燃やしている状態です。エネルギーの上下動が激しく、安定しない「シュガーバーニング(糖質燃焼型)」のシステムでは、とてもベストの状態で午後から活動することはできません。
ですので、今までの糖質中心の食生活を、脂質中心の食生活に変えていくことが大切です。糖質を控えて脂質の多い食事をしていれば、次第に体は糖質ではなく脂質を燃料として使うようになります。
質が高く脂質の多い食材には、このようなものがあります。
- 卵(抗生物質不使用、放飼)
- 牧草牛、自然放牧の肉
- 青魚(アジ、イワシ、サバなど)
- アボカド
- ナッツや種(アーモンド、カシューナッツ、クルミ、マカダミア、松の実、ゴマ、かぼちゃの種など)
- 牧草牛から作られたバター、ギー
- 良質な油(エクストラバージンオリーブオイル、ココナッツオイル、アマ二油など)
単純なタンパク質と炭水化物の組み合わせ(カツ&ご飯、ステーキ&ポテト、ソーセージ&パンなど)を避け、上記のような質の高い脂質を摂ることを心がけてください。
栄養素の多い食事にする
糖質の中でも、昼食でよく口にするであろう小麦や米などの炭水化物には、野菜や肉、魚などの他の食品と比べて「微量栄養素」が不足しています。特に、デンプンの多い炭水化物には微量栄養素が少ないので、小麦や米をいくら食べても、体は「栄養素が足りない」と認識し続けます。
その結果、満腹感を得られないまま「もっと、もっと」と食べ続けることになります。ちなみに、脳に「もうお腹いっぱいです」という指令を送るのは、脂肪細胞から分泌される「レプチン」という満腹ホルモンです。
この満腹ホルモンは、脂質やタンパク質を摂ったときは盛んに分泌されるのですが、炭水化物の場合はあまり反応しません。昼食に麺やパン、米をたくさん食べる方は、満腹ホルモンがあまり分泌されていないという事実もあるのです。
ですので、肉・魚・卵などのタンパク質と栄養豊富な野菜や豆類、果物を食べることを意識してください。
眠くならないために改善すべき生活習慣
昼食後に眠くならないためにできる、生活習慣をご紹介いたします。
十分な睡眠を摂ろう
当然、夜間に十分な睡眠が取れていない方は、日中眠くなることが多いでしょう。必要な睡眠時間は人によって異なりますが、18歳〜64歳の成人における睡眠時間は、7〜9時間ほどを推奨しています。
また、睡眠不足になると、食欲を抑制し満腹感をもたらす「レプチン」というホルモンの分泌が減少し、食欲を高める「グレリン」というホルモンが増加します。
このグレリンは、炭水化物や甘いものをより食べたくなるホルモンです。食べ過ぎを防ぐためにも、夜間の十分な睡眠は重要なタスクなのです。
「ストレスマネジメント」ができるようになろう
「強いストレス」や「怒りの感情」も、血糖値の上昇を招くと言われています。怒りやストレスは、血糖値を上げるホルモンの分泌を促進させてしまうからです。
日頃から、感情をコントロールしたり、自律神経を整えることを意識して、心を穏やかに保つことを意識するようにしましょう。そうすることで、暴飲暴食や飲酒、生活リズムが乱れる娯楽などを未然に防ぐことができます。
まとめ
昼食後眠くなる理由を理解し、今までの昼食の内容などを振り返るきっかけになったかと思います。眠くなりやすい食べ物・食べ方が自分に当てはまると感じた方は、眠気を改善するためにもできることから取り組んでみてください。
眠くなりにくい食べ物や生活習慣を参考に、午後からも活発に活動できるよう努めていきましょう。