あなたは、普段かぜを引きやすかったり、体調を崩すことが多いですか?心当たりがある方は、「免疫力」が落ちているかもしれません。
その不調は、遺伝や体質にあると思っている方もいるでしょう。ですが、実はあなたが毎日選ぶ食べ物や、無意識のうちに行っている習慣に原因があるのです。
免疫力を上げるためにすべきことを理解して実践すれば、長年の不調が信じられないくらい改善されます。
今回は、免疫力を上げる方法から免疫力を下げてしまう生活習慣まで解説いたします。あらゆる健康トラブルを予防したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
免疫力を上げるべき理由
免疫力を上げることが、健康的な日々を過ごすうえでどれだけ大切なことかを理解しましょう。
免疫力とは?
免疫力とは、「疫(病気)を免れる力」のことです。体内で発生したガン細胞、外から侵入した細菌やウイルスなどを監視して、撃退するのに役立つ自己防衛システムです。
もし、免疫力がなくなったら、私達はすぐに何らかの病気になり、健康的な日々を過ごせないのはもちろん、長生きすることもできません。
免疫力が下がっている人の特徴としては、以下のようなものがあります。
- 肌が荒れる
- 疲れやすくなる
- お腹を壊しやすくなる
- ウイルス、感染症にかかりやすくなる
- アレルギー症状(花粉症・アトピーなど)が出やすくなる
これらの症状に慢性的に悩まされていたら、免疫力が下がっている可能性が高いです。一刻も早く、免疫力を上げる習慣を身につけましょう。
自然免疫と獲得免疫の違い
免疫機構は、大きく自然免疫と獲得免疫により構成されています。
自然免疫とは、その人の体に元々備わっている機能で、ガン細胞やウイルスに立ち向かって撃退しようと戦ってくれます。皮膚や口腔内の粘膜、目の角膜、唾液、涙などが、外から来た外敵に応戦して殺菌してくれます。
獲得免疫とは、その病原体と戦いながら、敵の情報を記憶し同じ病原体の次の侵入に備える働きをしてくれます。病原体が持つ「抗原」と呼ばれる特有の成分を読み取り、その病原体に合わせて「抗体」を作り出します。
この2つの免疫は別個で働いているのではなく、自然免疫は病原体に対する初めの感染に対する防衛反応を引き起こし、獲得免疫は同じ敵の次の侵入に備える役割をしています。
免疫力と腸は、深い関係がある?
私達は口から食べ物を取り入れ、それが胃や腸を通り、肛門から便となって排出されます。食べ物以外にも、さまざまな細菌やウイルスが侵入してくるため、腸には免疫機能が備わっています。
なんと、免疫に関わる細胞の6割以上は腸に存在してるため、腸は体内で最大の免疫機関を言われています。そのため、免疫力を上げるためには、腸の状態を整え本来の免疫力を発揮させる必要があるのです。
免疫力を上げる方法6つ
免疫力を上げるために、生活に取り入れるべき方法を5つご紹介いたします。
免疫力を上げる食品を選ぶ
免疫機能を維持するためには、良質なタンパク質、ビタミン、ミネラルが必要です。それらの栄養素を摂取するためには、バランスの良い食事をすることが大切です。脂肪や糖ばかりが多くなりがちな洋食に比べて、私達日本人には、やはり「和食」が体質に合っています。
免疫力を上げるためには、腸内環境を整えることが欠かせないとご説明しました。しかし、腸内細菌は人それぞれ種類も割合も違うため、一概にこれを食べれば良いと断言できるものではありません。単純に「善玉菌を増やせばいい」という考えも持たないように気をつけましょう。
日本人の体質にも合っていて、腸内細菌にとって良い作用をもたらしてくれる食品で代表的な食品は、後ほどご紹介いたします。
体を温める
体を温めることで、免疫細胞が活性化します。現代人は低体温の方が多く、江戸時代の日本人に比べると約1度も体温が下がっていると言われています。
低体温だと免疫細胞の働きが低下していまい、体内に入ってきたウイルスを退治できなくなって、風邪を引きやすくなったりウイルスに感染しやすくなってしまいます。そのため、体を温めて免疫細胞にきちんと働いてもらうことが大切なのです。
- 毎日、汗をかくまで湯船につかる
- 冷たいものを控え、常温か温かいものを口にする
- 靴下やレッグウォーマーを履いて足元を温める
- 毎日3,000歩以上は歩く
これらの習慣を意識し、なるべく実践していくことで体温も上がっていくでしょう。
適度に運動する
免疫力を上げるためには、自分にとって適度な運動をすることがポイントです。体力や筋力を付けたいからといって、いきなり激しい運動をしてしまうと、逆に免疫力を下げることになってしまいます。
激し過ぎる運動は、体に炎症反応を起こし、それを修復するために働いてしまいます。そのため、無理のない範囲内で、額にじんわり汗をかくくらいの軽いウォーキングなどを取り入れるのをおすすめします。
血流が良くなり血液が筋肉に送られ代謝が活発になり、体温も上がって免疫力がアップするでしょう。
睡眠をとる
私達の体は、寝ているときに傷ついた細胞が修復されるようにできています。
また、睡眠中は副交感神経が優位に立っているため、心身がリラックスした状態なので免疫細胞が活発になります。そのため、いかにスムーズに眠りにつき、質の高い睡眠をとるかが大切なのです。
質の高い睡眠をとるために、必要な習慣は以下になります。
- 22時には寝る
- 寝る3時間前までに夕食を済ませる
- 寝る前にパソコンやスマホを見ないようにする
- 日中、軽く運動する
- 太陽の光を浴びる
これらを意識することで、徐々に体内時計が整ってきます。現代の生活では難しいかもしれませんが、どれか1つでも実践してみましょう。
太陽の光を浴びる
日中太陽の光を浴びると、幸福感や睡眠を促してくれるホルモンである「セロトニン」や「メラトニン」が分泌されます。すると、夜スムーズに眠りにつきやすくなります。
そのため、晴れている日は10分でも太陽の光を浴びるようにしましょう。このとき、窓越しよりも直接浴びる方が効果的なので、できれば戸外に出ることが望ましいです。
戸外に出れば、曇りの日でさえ少なくとも室内の10倍以上の光の量を浴びることが出来ます。
ストレスを溜め込まない
ストレスが溜まっているときは、「交感神経」が優位に立っている状態になっています。免疫細胞は、「副交感神経」が優位に立っているときに活発に働くため、ストレスを抱えているときは免疫力が下がっているということです。
また、自律神経を乱し、血管や内臓の動きを悪化させ、体調を崩しやすい体になってしまいます。ストレスが溜まると、風邪を引きやすくなったり体調を崩すのはこのためです。
日頃から自分の心と体と向き合い、上手にストレス発散することが大切です。
免疫力を上げる食べ物は?
免疫力を上げるために、毎日の食事に取り入れた方が良い、食べ物や飲み物をご紹介いたします。
新鮮な野菜
免疫機能をサポートする栄養素として代表的なものは、「ビタミンA」「ビタミンD」「ビタミンC」「ビタミンE」「亜鉛」などがあります。これらのビタミン群は、肉やファストフードが身近になった現代人に不足しがちになっています。
新鮮な野菜や果物を食べることが少ない方は、免疫力が下がりがちなので注意しましょう。
ニンジン、ブロッコリー、春菊、ほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜、玉ねぎ、長ネギ、ニンニク、生姜なども免疫力を高める代表的な野菜です。
食物繊維が豊富な食材
食物繊維は、腸内環境を整えるうえで必要なもので、便秘を解消し免疫力を高めてくれるのに役立ちます。そのため、毎日の食事に積極的に取り入れるようにしましょう。
食物繊維を豊富に含む食材には、乾物、根菜類、海藻類、豆類、きのこ類、種子類などがあります。
乾物 | 切り干し大根、ひじき、干し柿、プルーン |
野菜 | モロヘイヤ、オクラ、大根の葉っぱ、パセリ、かぼちゃ、ピーマン、ほうれん草、枝豆 |
いも類 | さつまいも、こんにゃく |
根菜 | ごぼう、ニンジン、大根 |
豆類 | あずき、インゲン豆 |
果物 | りんご、バナナ |
種子類 | ごま |
これらに加え、海藻、きのこを毎日食べたり、主食を玄米や発芽米にすると腸内環境が整ってくるのを実感するでしょう。
ただし、食物繊維は摂りすぎるとかえって便通が乱れることがあるので注意が必要です。年齢により適切な摂取量があり、成人であれば1日につき18〜21gが摂取基準量です。自分のお腹に合うものを見つけてください。
日本伝統の発酵食品
発酵食品には、善玉菌と言われる「乳酸菌」や「ビフィズス菌」が豊富に含まれ、腸内環境を整えるために作用してくれます。私達日本人の体に合った発酵食品には、納豆、漬物、味噌があります。
漬物や味噌汁は、できれば毎日食べるようにしましょう。肉やパンが中心の洋食より、ご飯と漬物、味噌汁の和食の方が、免疫力がアップし強い体を作ることができます。納豆においては、「大豆は体を冷やす」とも言われているため、冷え性の方などは食べ過ぎに気をつけてください。
免疫力を上げるためにやめた方が良い習慣
免疫力を上げたい方が、今すぐやめた方が良い習慣について解説いたします。
腸内環境を乱す食品を食べる
腸内環境が乱れると、免疫力はどんどん下がっていってしまいます。美味しいからと言って、腸に悪影響を与える食品ばかり食べていると、体調が悪くなるばかりでなく、老け込んだり、イライラしやすくなってしまうでしょう。
腸内環境が乱れる食品には、以下のようなものがあります。
- 市販のスイーツ
- スナック菓子
- インスタント食品
- 外食チェーンやファストフード店の揚げ物
- スーパーのお惣菜売り場の揚げ物
- 加工食品(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)
- 精製食品(うどん、パン、白砂糖など)
- 工業性油脂(サラダ油、キャノーラ油など)
- アルコール
これらは自然のままの姿をした食品ではなく、市場に流通させるために安く、保存が効くことを優先して販売されているものです。人の手が加わり精製されたものは、その過程で化学的な処理をされています。
上記の食品は控え、精製されていない自然のままの食材を選ぶことを意識してください。
冷たいものを摂る・湯船につからない
体内に侵入したウイルスや細菌を撃退する免疫細胞は、体温が上がると活性化します。そのため、体が冷えている状態だと免疫細胞を活性化させることができず、病気になりやすい体になってしまいます。
免疫力が正常に機能する体温は36.2〜36.6℃で、体温が1℃下がってしまうと免疫力は30%減少すると言われています。
腸は体内の熱を作る役割を担っているため、胃腸が冷えていると体温も上がりにくくなってしまいます。日頃冷たい飲み物ばかり飲んでいたり、湯船に入らない方は、胃腸が冷えている可能性が高いです。
白湯を飲む、湯船に入る、など体を温める習慣を身に付けるようにしましょう。
自律神経の乱れにつながること
ストレスが溜まっている状態は、免疫力の働きが弱まるというお話をしました。ストレスを抱えていたり緊張している状態だと、自律神経が乱れ低体温になります。
自律神経のバランスが崩れると血流も乱れ、手足の先まで血液が行き渡りにくくなり体が冷えてしまうからです。自律神経の乱れは、日頃のストレスはもちろん、生活習慣の乱れでも生じます。
昼夜逆転生活で、太陽の光を浴びず、不規則で栄養が少ない食事をしている方は要注意です。とくに現代人は運動不足で筋力が低下している方が多いため、体温が低くなりがちです。
早寝早起き、規則正しく栄養の摂れる食事、適度な運動、ストレスケアを心がけて、自律神経のバランスを整えていきましょう。
まとめ
免疫力を上げることの大切さ、そのために必要な生活習慣を理解できたと思います。いつまでも健康的な自分で生きていくには、免疫力が機能しやすい体を整えることが大切です。
毎日の食事や睡眠、運動など、さまざまな習慣を取り入れるのは簡単なことではないかもしれません。ですが、1つずつでも実践し、効果を感じれば自ずと行動が変わってくるはずです。
あなた本来の免疫力を引き出し、今より健康的な毎日を送りましょう。