食品添加物と聞いて、どのようなことを思い浮かべますか?「体のためには控えた方が良い」と思っている方が多いと思います。しかし、現代に生きる私達が食品添加物を全く摂らないという選択をすることは難しいことかも知れません。
今回は、数ある食品添加物の中でも特に控えたい添加物についてランキング形式で解説します。皆さんが食材を選ぶ上で参考になれば嬉しいです。
食品添加物の基本
まずは食品添加物についての基本的な知識について解説していきます。
食品添加物とは?
食品添加物とは、保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工や保存の目的で使用されるもの。厚生労働省では、食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、人の健康を損なう恐れのない場合に限って使用を認めています。
また、使用に当たっては、成分の規格や使用基準が定められています。さらに、規格や基準に関しては、必要に応じて改定も繰り返し行われています。
食品添加物の種類
食品添加物には、天然添加物と人工添加物があります。天然添加物は、植物や動物の組織や微生物の代謝産物、鉱物などの天然物を原材料とし、抽出などにより作られたもの。 そして、合成添加物は、化学反応により合成されたもののことを言います。
日本で使用が認められている添加物は大きく分けて「指定添加物」「既存添加物」「天然香料」「一般飲食物添加物」の4種類。そして、その数は厚生労働省によると831品目にのぼるとされています。
食品添加物の必要性と安全性
食品添加物には、保存料、乳化剤、酸化防止剤、安定剤などの物質があります。用途は多岐に渡り、社会的な役割も持ち合わせています。
【食品添加物の役割】
・加工処理を容易にする
・食品を長持ちさせ、腐りにくくする
・微生物による汚染を防ぎ、食中毒を予防する
・味、色、香りを添加して、より美味しそうにする
また、食品添加物にはルールがあり、人への安全性を考慮した上で使用量なども決められています。そのため、市販されている食品は安全性が確認されていると考えられている一方で、人体への影響も懸念されています。
食品添加物の危険度ランキング
食品添加物にも色々な種類がありますが、特にどのような添加物がリスクが高いと考えられているか、1~10位まで一挙にご紹介していきます。
1位:亜硝酸ナトリウム(発色剤)
保存肉に用いられる亜硝酸ナトリウムは風味を向上させるだけでなく、ボツリヌス菌をはじめとした細菌の増殖を抑制し、腐敗を防止する働きがあります。亜硝酸ナトリウムは「ヒトに対しておそらく発がん性がある」成分として分類。
亜硝酸ナトリウムは、動物内でニトロソアミンという成分に変換されます。ニトロソアミンという成分は、動物ではがんの原因となります。また、まれにアレルギー反応を引き起こすことも。亜硫酸ナトリウムは、ワインの中では自然に発生し、ドライフルーツやドライポテトなどに保存料として添加されています。
【使用できる食品】
食肉製品、鯨肉ベーコン、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、すじこ、たらこ
2位:アスパルテーム(合成甘味料)
アスパルテームは現在でも安全性・危険性に関して最も論争がある人工甘味料の一つです。国内では「ヒトに対して発がん性があるかも知れない」成分として分類されています。過去のラットでの実験結果では、リンパ腫と白血病が増加したという報告も。
アスパルテームは天然には存在しない化合物で、体内で代謝されたときにフェニルアラニンやアスパラギン酸、メタノールに分解されます。過剰なフェニルアラニンやアスパラギン酸は、別名幸せホルモンといわれるセロトニンやドーパミンなどを作るためのホルモンが脳に送られるのを阻害します。そのため、鬱症状を起こす原因になる可能性も。
【使用できる食品】
ダイエット飲料、チューインガム、ゼラチン、アイスクリーム、ヨーグルトなどの乳製品、朝食用シリアル、歯磨き粉、咳止めやチュアブル ・ ビタミンなどの医薬品 など
3位:アセスルファムK(合成甘味料)
アステルファムKは分子量が小さく消化されず吸収され、体内ではほとんど代謝されず尿中に排泄されます。そのため、カロリーはゼロ。しかし、消化管で消化されないため、肝臓や腎臓への負担が大きくなることになってしまいます。また、体にとっては異物として捕らえられ、頭痛やアレルギーの原因になったり、早く排出しようとして下痢や腹痛をきたす可能性も示唆されています。
その他、米国の研究チームが妊娠・授乳中のマウスにアステルファムKを与えたところ、胎盤・母乳を介して子マウスに移行するということが明らかに。また、人工甘味料を摂取許容量の倍量摂取した母マウスは代謝変化が非常に大きく、子マウスへの影響も示唆されたそうです。
【使用できる食品】
砂糖代替食品、チューインガム、餡類、アイスクリーム類、ジャム類、たれ、漬物、フラワーペースト、清涼飲料水、乳酸菌飲料 など
4位:タール色素(合成着色料)
タール色素は発色が良く、色が抜けにくく安価であることから過去には24種類の使用が許可されていました。しかしその後毒性が指摘されたことにより現在では11種類に制限されています。これらの合成着色料は、以前はコールタールから化学合成された物が使用されていましたが、現在では石油性品が原材料となっています。
しかし、動物実験においては発がん性、肝機能障害、甲状腺腫瘍、赤血球減少などが認められているようです。また、世界各国における許可色素と比較すると、日本で使用が認められているにもかかわらず、他国で制限されている物も複数あります。
【使用できる食品】
カステラ、きなこ、魚肉漬物、鯨肉漬物、こんぶ類、しょう油、食肉、食肉漬物、 スポンジケーキ、鮮魚介類(鯨肉を含む)、茶、のり類、マーマレード、豆類、みそ、めん類(ワンタンを含む)、野菜、わかめ類
5位:安息香酸ナトリウム(合成保存料)
安息香酸ナトリウムは、食品の腐敗を防ぎ、カビや細菌の繁殖を抑える保存料として用いられる添加物です。大量に摂取しなければ問題ないとされていますが、ビタミンCなどの酸と一緒に摂取すると「ベンゼン」という発がん性物質が発生します。ベンゼンは「ヒトに対して発がん性がある」と確認されている成分です。
【使用できる食品】
キャビア、マーガリン、清涼飲料水、しょう油、菓子の製造に用いる果実ペースト・果汁
6位:ソルビン酸カリウム(合成保存料)
ソルビン酸カリウムは、細菌やカビの発生を抑え、腐敗を防止する役割を持っています。そして、ソルビン酸は生体内で容易に代謝され、水と二酸化炭素になると考えられています。
しかし、ソルビン酸またはソルビン酸カリウムと亜硝酸塩の共存下では、染色体異常が増加したという結果が報告されています。また、特定のヒト集団では接触性蕁麻疹のような過敏性反応を起こすことがあると報告されています。
【使用できる食品】
魚肉練り製品、鯨肉・食肉製品、魚介乾製品、漬物類、たれ、ジャム、シロップ など
7位:OPP、TBZ(防カビ材)
PP(オルトフェニルフェノール)やTBZ(チアベンダゾール)は、柑橘系のフルーツによく使われる防カビ剤です。オレンジなどを生産するアメリカでは、収穫後に散布される農薬(いわゆるポストハーベスト農薬)として使用されています。この2つはもともと農薬として使用されており、現在は主に輸入フルーツに使用されています。
輸入フルーツとして食べる際は、食品にも使用できる洗剤などで洗い、皮を剥いて食べるようにしましょう。
8位:臭素酸カリウム(パン生地改良剤)
臭素酸カリウムは、主に小麦パンに使われる添加物です。小麦のタンパク質に反応し、膨らみ方や食感を向上させる働きがあります。臭素酸カリウムは、基本的には焼成時に消失する物質ですが、「ヒトに対して発がん性があるかもしれない」成分とされており、使用が禁止されている国もあります。
パンを選ぶ際は成分表を確認し、食べる時には焼くようにしましょう。
【使用できる食品】
パン
9位:カラギーナン(ゲル化剤など)
カラギーナンは、天然に存在する海藻から抽出され、とろみをつけたゼリーを固めたりするために「増粘多糖類」として使用されています。カラギーナンの分解物は「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」成分とされています。
アメリカでは、2016年にカラギーナンを有機食品の使用を禁止しており、EUでも幼児用粉ミルクへの使用を禁止しています。また、国内においても兵庫県尼崎市の学校給食ではカラギーナン入りのゼリーは採用しないなど、自主規制の動きも広まっています。
10位:BHT、BHA(酸化防止剤)
BHAは「ブチルヒドロキシアニソール」、BHTは「ジブチルヒドロキシトルエン」と呼ばれる酸化防止剤です。どちらも油脂に溶けやすい性質を持ちます。
BHAは、ラットの前胃に発がん性があることが報告され、食品への使用が禁止される予定となりました。しかし、再検討の結果使用禁止が延期となったままの状態になっています。また、BHAには女性ホルモン作用があることが確認されています。これは、胎児期に生殖器の奇形や行動異常、学習障害などを引き起こす危険性があると考えられています。
BHTは過去に妊娠ラットに投与し、単眼症が発生することが報告されています。しかし少数の発生であったことから問題とはされなかったという背景があります。
危険な食品添加物を避ける方法
食品添加物は、上記の通り多くの食品に含まれています。ランキングに入っていない他の物もあるということを考えると、さらに多くの食品で使用されているということが考えられます。では、少しでも摂取を控えるためにはどのようなことを意識すると良いのでしょうか。
加工食品を食べる頻度を減らす
気を付けやすいのは、食品添加物が多く含まれる加工食品の頻度を減らすこと。加工食品は、賞味期限が長く品質が保たれるように作られています。そのため、自ずと食品添加物の使用も多くなります。自分で手作りすると、何をどれだけの量使用するか自分自身で決めることができます。食材を購入する際は、成分表があるものに関しては成分表示を確認することが大切です。
複合摂取を避ける
日本で使用が許可されている食品添加物は完全性が確認されたもののみです。しかし、複合摂取に関しては安全性が確認できているとは言い切れません。また、添加物を複数含む食品を摂取することは、健康被害だけでなく塩分や糖分、味覚にも影響することが考えられます。
コンビニ弁当、ファストフード、インスタント食品ばかり食べていると、味覚が麻痺して素材の味を感じられなくなってしまう可能性もあります。
地産地消を意識する
地産地消とは、地域で育てられた野菜などの農作物を、そこで暮らす地元の人たちで消費することを言います。
生産者が直接販売することにより、鮮度が保たれていることが多く、品質を維持するために必要となる過程を加える必要がなくなります。遠方から輸送する場合は、鮮度の維持が困難であったり、美しく見せるための工程や、品質を維持するための加工や食品添加物が必要になることもあります。
無添加は安心とは限らない
「無添加食品」とは、原材料の産地から最終加工食品の完成まで、全てにおける工程段階で、添加物が一切使用されていない食品のことを指します。一般的に、加工されている食品は、製造過程で微量の添加物を使用することがあります。また、無添加といっても本来の素材のみで作られているとは限りません。無添加にも、「完全無添加」「一部無添加」「原材料の添加物表記省略」があります。
「無添加」という言葉の食品包装への表記に関するルールが決められたのは、2022年4月以降のことです。実は、具体的なルールがなく曖昧な状態でした。
まとめ
食品添加物があることで、私達の生活が便利になったり助けられたりしていることは事実です。しかし、その便利さや手軽さに頼る行為は、もしかしたら体の健康を害するリスクを上げる行為になっているかも知れません。私達の体や健康は、良くも悪くも日々の積み重ねにより作られています。そう思うと、できる限り安心して食べることができるものを選択したいですね。