ストレス社会と呼ばれている現代では、自律神経の乱れによる心身の不調に悩まされている方が増えているようです。
自律神経から起こる不調は生活習慣を整えることにより改善することができると言われていますが、食事も大きく関係することをご存知でしょうか。
この記事では自律神経に関する基本的な情報に基づき、自律神経を整える具体的な方法や注意すべき生活習慣についてご紹介します。
自律神経について
自律神経が乱れるとはどのような状態を示すのか、主な特徴や自律神経が乱れる要因について解説していきます。
自律神経とは?
自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」という2つの神経を総称したものを言います。この2つの神経は健康を維持するためにさまざまな所で効果を発揮し、常に身体のバランスが偏ることなくベストな状態を維持する働きを持っています。
交感神経とは、主に緊張状態の時や活動している時に優位となっている神経のことを言います。その一方で、副交感神経は主にリラックスした状態の時に出現します。入眠中など活動を終えてゆっくりとした時に効果を発揮する神経です。
この2つの神経は相反する性質を持っており、同時に出現することはありません。どちらか一方が優位の場合もう一方の神経は隠れています。
人間は、ホメオスタシス(恒常性)という常に程よいバランスを保とうとする性質を持っています。過度に一方の神経だけが出現し続けるのではなく必要な時に交互に作用し合うことが健康な状態であると言えるのです。
つまり自律神経が乱れているという状態は、常に交感神経が優位となり心身ともに休まらない状態となることで心身へなんらかの不調を来す状態のことを言います。
自律神経が乱れているときの特徴
自律神経が乱れることにより身体にもたらす影響を、身体的側面と精神的側面の2つに分類しご紹介します。
【身体的側面】
・血圧、脈拍の上昇
・血糖値の上昇
・めまい
・頭痛
・軽い息苦しさ
・不眠
【精神的側面】
・情緒不安定
・集中力の低下
・意欲の低下
・イライラして落ち着きがなくなる
基礎疾患がない方でこのような症状がいくつか確認できた場合、自律神経の乱れが要因となっているかもしれません。
自律神経が乱れる食事・生活習慣
【食事】
・トランス脂肪酸の摂取
・糖分の過剰摂取
・食品添加物の多い食品
これらの過剰摂取は血糖値が不安定になり、身体に負担を強くかけるほか自律神経が乱れる要因にもなります。
【生活習慣】
・喫煙
タバコに含まれるニコチンは交感神経を直接刺激します。タバコの本数が多いほどニコチンが身体に大きく影響し常に神経が過敏な状態となってしまいます。できるだけ喫煙回数を減らすこと、ニコチンの含まない喫煙習慣に切り替えることをおすすめします。
・過度な飲酒
適量であれば、アルコールは身体にも良い効果をもたらすとも言われていますが、過剰摂取には注意が必要です。アルコールにも交感神経を刺激する作用があるため、飲酒の量が多いほど体内で代謝されにくく残存してしまいます。
その結果、交感神経が持続して刺激されている状態が作り出され自律神経にも影響を及ぼします。飲酒の量も見直してみましょう。
・不規則な生活
自律神経にとって特に重要なことは規則正しい生活リズムをつくることです。夜更かしばかりしていては睡眠習慣がずれてしまい、その他の食事や活動のリズムも次々と乱れていきます。
朝は太陽の光を浴び、日中は活動をすること、可能であれば運動を取り入れて睡眠の準備をするという流れが理想的であり、なによりの予防法であるとも言えます。
自律神経を整える食べ物とは?
「腸脳相関」という言葉をご存知でしょうか。これは腸と脳は密接な関係にあるということを示す医学的用語として使用されています。
緊張するとお腹を壊したり、精神的なダメージが腸に出現しやすいのは腸脳相関によるものであると言われています。ストレスを感じることで神経が刺激され、腸に伝達されることで症状としてストレス反応が現れます。
つまり脳と腸は互いに影響を受けやすい状態であるということです。そのため効果的な食事をとることは身体に有益な効果をもたらすだけではなく腸を通じて直接、神経にも良い影響を与えることができるのです。
自律神経を整えるために必要な栄養素と食材
自律神経を整えるために必要な栄養素と、豊富に含む食材をご紹介いたします。
栄養素 | 食材 |
GABA | キムチ 味噌 醤油 かぼちゃ トマト |
タンパク質 | 肉 魚介類 |
ビタミンB6 | 肉類 レバー 鰹 |
ビタミンD | 卵 きのこ類 魚介類 |
トリプトファン | バナナ 大豆 レバー 卵 |
マグネシウム | ナッツ類 バナナ |
ビタミンC | 果物類 芋類 |
キャベジン | キャベツ セロリ レタス |
カルシウム | 小松菜 小魚 |
食物繊維 | きのこ類 芋類 |
自律神経を整える食事のポイント
食材だけではなく食事の方法にもおすすめのポイントがあります。意識して実践すべき効果的な2つのポイントをご紹介します。
①栄養バランスの良い食事を摂る
基本的なことですが食事は空腹を満たすだけではなく、栄養バランスを考えて食べることも大切です。特に体内で生成することができない必須アミノ酸や脂肪酸など食事から摂る必要のあるものは積極的に意識して取り入れるようにしましょう。
バランスの良い食事は栄養の吸収を効率的にするとともに、自律神経にも良い影響を与えます。
②腸内環境を整える食事内容を目指す
発酵食品や乳製品を上手に取り入れ腸内の健康も意識しましょう。腸を活性化させることは他の病気の予防にも繫がると共に直接的に自律神経を安定させることができます。
自律神経を整える飲み物
・ココア
・ハーブティー
・緑茶
・白湯
これらの飲み物にはそれぞれリラックス効果の高い成分を含んでおり、自律神経にも効果的であると言われています。適度に程よい量で日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。
自律神経を整える生活習慣
自律神経を整えるために、まずは生活習慣を見直してみましょう。各習慣の中でも、自律神経に大きく影響を与える3つの習慣とおすすめの対処方法についてご紹介します。
ストレスケア
ストレスは、自律神経に大きな影響を与える要因の一つです。ストレスが蓄積されることによって自律神経は不安定になり、常に交感神経が優位の状態になります。その結果、緊張状態が持続することによりリラックスすることができず心身共に休息を得ることができなくなり不調へと繋がるのです。
ストレス耐性の個人差は大きく異なり、対処法も人によってさまざまです。ご自身にとって何が一番リラックスできる方法であるかを考え、ストレス値の高い状況にさらされた時に対処できる方法を身につけましょう。
質の高い睡眠
睡眠で重要なことはどれだけ長く眠れたかではなく、どれくらい深い睡眠状態を得ることができたかが重要です。良質な睡眠を得ることはホルモン分泌を活性化させ心身共に回復を促すほか、副交感神経が優位となるためリラックスした状態を作り出し生活リズムを整えることにも繋がります。
入眠前はできるだけテレビやスマホのチェックなど睡眠の妨げになるような行動は避け、良質な睡眠の獲得を目指しましょう。
適度な運動
日常に無理のない範囲で運動を取り入れることは、ストレス発散や良質な睡眠の獲得、神経バランスの維持などメリットが多数あります。特に身体的負荷が強い運動ではなく散歩やジョギング、水泳といった有酸素運動がおすすめです。できるだけ毎日継続して同じ時間帯に実施できる運動を選びましょう。
まとめ
自律神経は意識的にコントロールできるものではないため、日々の生活習慣が重要となります。一度乱れてしまうと軌道修正するにも時間がかかるため、予防的行動が大切です。
なんらかの不調を感じている方は、まずは生活習慣と食事を整えることから始めましょう。季節の変わり目に起こりやすいといわれる自律神経の乱れと上手く付き合いながら心身ともに健康な状態を目指してください。