2024.02.07

食事・栄養

ビタミンDの効率的な摂取方法|食品やサプリの選び方とは

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竹内 久美

産婦人科医/ヘルスコーチ

ビタミンDは、ビタミンの一種である栄養素です。ビタミンCに比べると認知度が低い栄養素かも知れませんが、実は身体に必要な栄養素のひとつ。

今回は、ビタミンDが私達の体の中でどのような働きをしているか、そしてビタミンDを摂る上での注意点やビタミンDが多く含まれる食品、サプリメントを摂るときのポイントなどについても解説していきます。

ビタミンDについて

まずは、ビタミンDの基本から学んでいきましょう。ビタミンDが、私達の体でどのような役割を担っているのか解説していきます。

ビタミンDとは?

ビタミンには、水溶性ビタミン脂溶性ビタミンがあります。水溶性ビタミンは、ビタミンB群とビタミンCがあり、これらは水に溶けやすく油脂には溶けにくいという性質があります。そのため、水溶性ビタミンは過剰に摂取しても体内には蓄積されず尿として排出されるという特徴があります。

脂溶性ビタミンは、水溶性ビタミンと対照的な性質を持ち、油脂やアルコールに溶ける性質のビタミンです。脂溶性ビタミンは肝臓や脂肪細胞に蓄積され、摂り過ぎると健康被害をもたらす可能性があります。ビタミンDは、脂溶性ビタミンです。脂溶性ビタミンには、ビタミンD以外にビタミンA、ビタミンE、ビタミンKが該当します。

これらのビタミンは、食品などから摂取して栄養素として体内で使われます。しかし、ビタミンDは紫外線を浴びることにより体内で合成することができる唯一のビタミンです。

水溶性ビタミン ビタミンB群、ビタミンC
脂溶性ビタミン ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK

ビタミンDのはたらき

ビタミンDは、骨の健康に大きく関わる栄養素です。ビタミンDは、骨の主要成分であるカルシウムの吸収促進、骨の成長促進、健康な骨の維持をする役割を担っています。そのため、ビタミンDが不足すると健康な骨を維持することができません。

また、その他にも筋肉の増強や、免疫機能を調整する働きも担っています。つまり、健康の保持増進、感染予防のためにもビタミンDは必要な栄養素です。

また、2023年5月に発表された研究によると、ビタミンDのサプリメントを継続的に内服することで、がんによる死亡率が12%減少したという結果も。さらに、70歳以上の場合は、がんによる死亡率が17%減少したという結果になり、高齢者においてビタミンDの内服が特に有効であるということが明らかになりました。

ビタミンDの必要摂取量

ビタミンDの摂取目安量は、性別や年齢などにより異なります。また、ビタミンDは日照により皮膚で産生することができるため、日常生活において可能な範囲内での適度な日光浴を心がけることが大切です。

性別 男性 女性
年齢等 目安量
(μg/d)
許容上限量
(μg/d)
目安量
(μg/d)
許容上限量
(μg/d)
0〜5(月) 5.0 25 5.0 25
6〜11(月) 5.0 25 5.0 25
1〜2(歳) 3.0 20 3.5 20
3〜5(歳) 3.5 30 4.0 30
6〜7(歳) 4.5 30 5.0 30
8〜9(歳) 5.0 40 6.0 40
10〜11(歳) 6.6 60 8.0 60
12〜14(歳) 8.0 80 9.5 80
15〜17(歳) 9.0 90 8.5 90
18〜29(歳) 8.5 100 8.5 100
30〜49(歳) 8.5 100 8.5 100
50〜64(歳) 8.5 100 8.5 100
65〜74(歳) 8.5 100 8.5 100
75以上(歳) 8.5 100 8.5 100
妊婦   8.5
授乳婦 8.5

 

ビタミンDと体への影響

上の項目でも触れたように、ビタミンDは脂溶性のビタミンです。そのため、水溶性の栄養素と異なり、過剰に摂取すると体内に蓄積されてしまいます。つまり、ビタミンDは摂取が少な過ぎても多過ぎても健康被害に繋がってしまいます。以下にビタミンDの過不足による体への影響について解説します。

ビタミンD不足・欠乏

ビタミンDは、骨の健康に大きく関係しています。そのため、ビタミンDが不足・欠乏すると、骨の健康が害される要因になってしまいます。小児期にビタミンDが欠乏してしまうと、骨が軟化し変形する「くる病」の要因になります。そして、成人期におけるビタミンDの欠乏は、骨の痛みや筋力の低下を起こす骨軟化症の要因になります。

閉経後の女性は、女性ホルモンの分泌の低下により骨を形成する働きが落ちてしまいます。その影響で、骨密度が低下し骨粗しょう症になりやすい傾向があります。更年期の女性は、特に意識してカルシウムの摂取や運動に合わせてビタミンDの摂取や日光浴も意識して行いましょう。

ビタミンDの過剰摂取

上記にも記したように、ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため過剰に摂取すると体に蓄積されてしまいます。そして、血液中のビタミンDの濃度が高くなり過ぎた場合は有害になってしまいます。

症状としては、吐き気、嘔吐、食欲不振、便秘、脱力感、体重減少など。また、ビタミンDには、血液中のカルシウムの濃度を上昇させ、血管や組織の石灰化を引き起こし、その後、心臓、血管、腎臓に損傷を与えます。腎臓が永続的な損傷を受けて腎不全になる場合もあります。

 

ビタミンDの効率的な摂取方法

最後はビタミンDを摂取する方法についてご紹介します。

日光を浴びる

ビタミンDは、紫外線を浴びることにより体内で合成することができる唯一のビタミンです。紫外線の浴び過ぎは皮膚がんのリスクを高めてしまうという側面もありますが、適度に紫外線を浴びることは大切です。日本の地形と四季により、地域や季節によって必要な日照暴露時間は異なりますが、夏は10分前後、冬は北海道のような寒い地域では日の高い正午ごろに1時間強屋外で過ごすことが有効であると考えられています。

紫外線を浴びることは、体内時計をリセットさせる効果もあります。心身の健康のためには、意識して適度に紫外線を浴びることも大切です。

ビタミンDが含まれる食品を食べる

ビタミンDは、きのこ類、魚介類、卵類、乳類に多く含まれている傾向があります。また、ビタミンDは、脂溶性であるため、炒め物や揚げ物のような油を使った調理とも相性が良いです。

順位 食品 成分量(μg/100g)
1 乾燥あらきくらげ 130
2 かつおの塩辛 120
3 あんこうの肝 110
4 乾燥きくらげ 85
5 うまづらはぎの開き干し 69
6 しらす干し 61
7 いかなごの煮干し 54
8 まいわしのみりん干し 53
9 たたみいわし 50
9 まいわしの丸干し 50

サプリメント

普段の生活であまり外出をする習慣がない方や、ビタミンDを含む食品を摂らない方はサプリメントを使用するのも良いでしょう。しかし、サプリメントはあくまで栄養を補うためのものです。サプリメントを摂っていれば安心というわけではないので、まずは自身の生活を整えることが大切です。

また、サプリメントを使用する際は用法用量を守ることが大前提です。以下のポイントにも気をつけましょう。

【ビタミンD含有のサプリメントを選ぶポイント】
・ビタミンDを主成分とするサプリメントを選ぶ
・ビタミンDの含有量が十分なものを選ぶ
・添加物が使われていないものを選ぶ
・天然成分で作られているものを選ぶ
・リポソーム処方されているものを選ぶ

「リポソーム」とは?|構造や効果、メリットまでわかりやすく解説

 

まとめ

あまり身近ではないビタミンDですが、私等の体で特に骨の健康に大きく関わっているビタミンのひとつです。また、継続的に摂ることでがん予防の可能性もあるとは驚きですね。近年、紫外線に対してネガティブなイメージをお持ちの方も多いと思いますが、日焼け対策をしながら適度に太陽の光を浴びるようにしましょう。

参照:
1.東京慈恵会医科大学.報道資料.2023年5月9日
2.1-6 ビタミン

 

この記事の監修者

竹内 久美 産婦人科医/ヘルスコーチ

 
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