「MCTオイル」は健康に良いイメージがありますが、原料や体に及ぼす作用について詳しく知らない方も少なくないでしょう。
健康志向の高い方やスポーツマンにも愛用されているMCTオイルですが、使い方を間違えたり摂取タイミングが適切でないと効果が半減していまいます。
この記事では、MCTオイルの基本的な知識から、より効果的に摂取するためのポイントや注意点について解説いたします。
MCTオイルの基礎知識
MCTオイルとはそもそもどのような特徴を持ったオイルなのでしょう?順にご紹介していきたいと思います。
MCTオイルって何?
MCTオイルとは、ココナッツ・パームフルーツの種子などヤシ科の植物に含まれる天然成分「中鎖脂肪酸脂」のみで作られているオイルのことを言います。中鎖脂肪酸は母乳や牛乳にも含まれる天然の成分ですが、「MCTオイル」は中鎖脂肪酸含有量100%のオイルです。
MCTオイルの特徴
MCTオイルは、一般的なオイルよりも素早く消化・吸収されるため、すぐエネルギーになりやすいという特徴をもっています。各種の油の特性は、「脂肪酸」の種類・並び方により異なり、長さにより分類わけできます。
キャノーラ油・オリーブオイル・ラードなどの一般的な油脂に含まれている「長鎖脂肪酸」で、長鎖脂肪酸の半分の長さのものを「中鎖脂肪酸」と呼びます。この「長さが半分」ということが、一般的な油脂とMCTオイルの違いを生み出す秘密なのです。
長さが短い中鎖脂肪酸だからこそ、水に大変なじみやすく、小腸から門脈を経由して直接肝臓に入り分解されます。MCTオイルは中鎖脂肪酸で出来上がっているため、一般的な油に比べ約4倍もの速度で分解され、短時間でエネルギーになれる優れもののオイルです。
またMCTオイルはこれまで50年以上にわたり、安全性の高さから未熟児・腎臓病患者・てんかん患者・消化器系の手術後の患者などへの栄養補給用の食材として、医療現場で広く利用されてきました。また高齢者の低栄養状態の改善にもエネルギーになりやすい食材としてMCTオイルは広く利用されています。
ケトジェニックダイエットとの関係
今アメリカで話題になっているダイエット方法の一つに「ケトジェニックダイエット」というものがあります。これは糖質制限ダイエットのことで、このダイエットと共に話題になっているのが「MCTオイル」です。
ではどうしてダイエットとMCTオイルが結びついているのでしょう?私たちの身体を構成している全ての器官が動くにはエネルギーが必要です。これらのエネルギーを作りだす働きをしている経路が「糖質」からの経路・「脂肪」からの経路です。
特に「脂肪」からの経路では、身体に蓄えていた中性脂肪を基に肝臓で「ケトン体」が作られ、このケトン体が私たちの身体の筋肉・脳のエネルギーとして使用されているのです。そしてケトジェニックダイエットは、これらの身体の仕組みを上手く利用したダイエット方法で、糖質の量を制限し、その分良質なタンパク質・脂質を多く摂って脂肪燃焼を促し、ケトン体の生産量を高めるダイエット方法であるため、注目を浴びています。
MCTオイルの効果
ここからは、MCTオイルの効果について順にご紹介していきたいと思います。
ダイエット効果
MCTオイルは、とにかくエネルギーへの変換速度が早いオイルです。そのため体脂肪として体内に蓄積されにくく、さらに体脂肪を燃やして作るケトン体の生成を促す働きもあります。そのため、ダイエットを行う際に摂取するとより効果が高まり、空腹を感じにくくなるオイルとして注目されています。
持久力の向上
MCTオイルを継続的に摂取することで、運動時の持久力向上につながる他、脂質をエネルギーとして利用しやすい身体づくりにつながると言われています。身体のエネルギー切れを起こさないためにも、エネルギー源を糖質のみに頼るのではなく、MCTオイルを用いた食事を摂ることで、より持続時間が長くなると言われています。
認知症予防・改善
ケトン体は、脳の神経細胞のエネルギー源としても有効的に使える唯一の物質です。このケトン体を生成することで、脳のエネルギー不足を補給できると考えられています。近年の研究で、アルツハイマー型認知症は脳がブドウ糖を利用しにくい状態に陥ってしまうため起こると分かってきました。
そのため、MCTオイルを摂取することで認知症の予防・改善につながる可能性も併せて認められるようになってきています。
肌荒れの予防・改善
糖質を摂りすぎてしまうとインスリンが過剰に分泌され、インスリンには細胞を傷つける「活性酸素」を生み出す働きがあり、それがシミ・肌荒れにつながります。一方MCTオイルに含まれるβヒドロキシ酪酸には老化の原因になる活性酸素を無効化する働きがあり、シミ・シワ・くすみの予防に効果があると期待されています。
MCTオイルの注意点
ここからは、MCTオイルを摂取する際の注意点について順にご紹介していきたいと思います。
加熱はしない
MCTオイルである中鎖脂肪酸は加熱した際に煙が出る温度が低いため調理には向かず、加熱するのではなく直接食材にドレッシングのように使う方法で使用してください。またMCTオイルは無味無臭でサラッとしているため、そのまま飲んでも大丈夫です。
冷蔵庫に入れない
MCTオイルは、飽和脂肪酸で構成されたオイルのため、直接日光が当たらない場所で常温保管するようにしてください。常温では液状ですが、融点(固化温度)が比較的高いため、冷蔵庫ではゼリー状もしくは固形になってしまい、次回利用時に出て来ないようになってしますため冷蔵庫に入れての保管はおすすめしません。
摂り過ぎは禁物
MCTオイルの摂りすぎは腸での吸収率の高さから、下痢・腹痛を引き起こす可能性があります。そのため、摂取量は1回の使用でで大さじ1杯程度を守ることをおすすめします。MCTオイルはとてもあっさりしたタイプですが、大さじ1杯で100kcalのエネルギーがあり、摂取しすぎたMCTオイルは体脂肪になり蓄積されます。そのため、摂り過ぎは禁物です。
質の高いものを選ぶ
MCTオイルの原料は主に「カプリル酸」・「カプリン」と呼ばれる中鎖脂肪酸です。ところがMCTオイルによりこの各成分の含有量が違い、製法も違うという特徴があります。原材料などの詳細をしっかり見て、質の高いMCTオイルを選ぶようにしてください。
プラスチック容器は使わない
MCTオイルをプラスチック容器に入れると、変形させる可能性があるためおすすめしません。例えばカップラーメンや納豆が入った容器にそのままMCTオイルをかけてしまうと、ふにゃふにゃになって溶けて穴が空き、重大事故につながりかねません。
MCTオイルは分子構造が短いため、プラスチック容器に入れると変形させてしまう性質をもっています。そのため中鎖脂肪酸100%のMCTオイルを飲む際は陶器・ガラスの容器を使うことをおすすめします。
MCTオイルの使い方
それでは、MCTオイルはいったいどのように使えば良いのでしょう?利用方法の例を順にご紹介していきたいと思います。
サラダや料理にかける
サラダに通常のドレッシングの代わりにかける方法、様々な料理にかける方法などがあります。初めてMCTオイルを使う方は「小さじ1杯」から試すようにしてください。MCTオイルをは身体に良く、ダイエットのサポート効果があるからといって、むやみやたらと摂取すれば良いというものではありません。
飲み物に入れる
朝食時の紅茶・コーヒー・スムージーなどに入れて飲むのはとても効果的な摂取方法ですが、MCTオイルを入れる分量を守らないと腹痛を起こしてしまう恐れがあります。特に今まで油を飲んだことのない人は、お腹が慣れていないため注意が必要です。胃が慣れるまで少量から摂取することをおすすめします。
MCTオイルを飲むタイミングは、エネルギー消費が多く見込まれる朝からお昼までの時間帯が効果的です。
まとめ
この記事ではMCTオイル(中鎖脂肪酸)についてご紹介してきましたがいかがでしたか?中鎖脂肪酸は私たちの健康を維持するうえでとても大切なケトン体を生産してくれる大切な脂質です。良質なMCTオイルを摂取することで、私たちの身体に様々な良い効果をもたらしてくれることを、読み進めていくうえで理解いただけたと思います。
これらのことを念頭に、日々の生活にMCTオイルをぜひ摂り入れてみてくださいね。