2025.01.14

食事・栄養

葉酸の効果とは?|多く含まれる食材やおすすめの摂り方を解説

サプリ
HCU

竹内 久美

産婦人科医/ヘルスコーチ

「葉酸」という栄養素をご存知ですか?現在妊活中の方や妊娠中の方は聞いたことがある方も多いと思います。葉酸は、特に妊活中や妊娠中の方に意識してとっていただきたい栄養素ですが、そうでない方にとってもとても大切な栄養素です。

葉酸という栄養素が持つ効果や効率良く摂る方法について解説していきます。

葉酸の基本

まずは葉酸についての基本的な知識から解説していきます。

葉酸とは

葉酸は、ビタミンB群に属するビタミンであり、水溶性のビタミンです。食品中では酵素たんぱく質と結合した状態で「ポリグルタミン酸型」という形で存在しており、色々な食品に含まれています。体内に栄養素として吸収される際には、たんぱく質と分離した状態である「モノグルタミン酸型」という形になります。

葉酸のはたらき

葉酸は、細胞の生産や再生に関係するDNAやRNAなどの核酸やたんぱく質の生合成を促進する役割をもっています。つまり、体の中の色々な器官の機能を維持するために必要な栄養素です。そのため、葉酸が不足してしまうと体の色々なところに不調がでてきます。また、葉酸は体内に少量しか蓄えることができない栄養素であるため、葉酸の摂取が不足した状態が続くと、数ヶ月で葉酸欠乏症になることが分かっています。

 

葉酸の効果

細胞の産生や再生に関わる葉酸が、体内で具体的にどのような効果を発揮しているか解説していきます。

貧血の予防

葉酸は、造血のビタミンとも呼ばれており、ビタミンB12と共に正常な赤血球を作る役割をもっています。そのため、葉酸やビタミンB12が欠乏してしまうと、赤血球細胞の成長に異常が起こり「巨赤芽球性貧血」を引き起こしてしまいます。葉酸欠乏による「巨赤芽球性貧血」の発症は2%程度と多くありませんが、アルコールの飲み過ぎや一部の薬剤の使用により吸収が阻害され、発症することがあります。

動脈硬化の予防

葉酸は、血液中のホモシステインがメチオニンへ代謝するのを助ける働きがあります。ホモシステインは、アミノ酸の一種でありメチオニンから美白に関係する物質であるシステインを作る過程で必要な物質です。

しかし、葉酸が不足しホモシステインが代謝されずに血液中の濃度が上昇し過ぎると、酸素や水に反応して酸化ストレスである活性酸素を発生させてしまいます。その結果として、動脈硬化を引き起こしてしまいます。動脈硬化は様々な生活習慣病と関係しており、心疾患や脳血管疾患などのリスクを高めてしまいます。

胎児の疾患の予防

葉酸は胎児の「神経管閉鎖障害」の予防になることが知られています。葉酸は、細胞の生産や再生に大きく関係しており、胎児期においても同様に影響します。胎児の神経管とは、将来的に脳や脊髄になる部分のことをいいます。この神経管が作られるのは、妊娠4週頃であり、多くの方が妊娠に気付かない時期です。そのため、妊娠を望んでいる女性や妊娠中の女性は、より多くの葉酸を摂ることが推奨されています。

※神経管閉鎖障害とは、妊娠初期に胎児の脳や脊髄などの神経管に障害が起こり、正常な形成が行われないことによって起こる先天異常のことです。「二分脊椎」「髄膜瘤」「無脳症」などが知られています。重症例では死に至ることが知られています。

 

葉酸の必要量

葉酸の必要量は、ライフステージにより変化します。特に、妊活期、妊娠中の女性には付加して摂ることが推奨されています。しかし、体の機能を維持するために誰しもが摂らなければならない必要な栄養素です。

それぞれのライフステージでどれくらいの量が必要かについて解説していきます。また、妊活中の女性や妊娠中の女性はいつまで付加する必要があるかについても説明していきます。

成人男性、成人女性

葉酸は、細胞を作る上で必要な栄養素です。そのため、男女問わず必要な栄養素だと言えます。血管の動脈硬化の原因となる血液中のホモシステインの濃度を上昇させないためには、1日あたり240μg摂ることが推奨されています。

妊活期の女性

妊娠を考えている女性は、妊娠を考えた時から葉酸を付加して摂ることが推奨されています。先天性疾患である「神経管閉鎖障害」の原因となる神経管の発生は、多くの妊娠に気づく前の時期です。そのため、その時期に必要な葉酸の量を摂るためには妊娠を考えた時から付加することが望ましいのです。また、食事から摂取するだけでは、代謝、吸収の過程で50%程度まで下がってしまうため、食事に合わせてサプリメントなどから補うことが推奨されています。

妊娠初期の女性

妊娠中は、子宮内の胎児の成長発達に伴い多くの葉酸が必要になります。特に妊娠初期は胎児の細胞分裂が盛んであるためより多くの葉酸が消費されます。そのため、妊活期同様の付加が推奨されています。

妊娠中の女性

妊娠中は循環血液量が増大しますが、その一方で赤血球などの血液成分は増えません。そのため、多くの妊婦が貧血傾向になります。初期に比べて推奨される付加量は少なくなりますが、意識して摂ることが大切です。

授乳中の女性

授乳中においては、母乳を通して乳児に葉酸などの栄養素が送られます。そのため、母体の葉酸が不足してしまうため、授乳中も葉酸を付加して摂ることが推奨されています。

  葉酸摂取量 付加量
成人男性、成人女性 240μg  
妊活中・妊娠初期の女性 +400μg
妊娠中の女性 +240μg
授乳中の女性 +100μg

 

葉酸が多く含まれる食品

健康のためには葉酸を意識して摂ることが大切です。葉酸は水溶性のビタミンであるため、食物からの摂取に関しては摂り過ぎても尿として排出されます。そのため、摂り過ぎる心配はありません。一方で、サプリメントなどから摂る場合は、吸収が良いため摂り過ぎてしまう可能性があります。確認して摂るようにしましょう。

葉酸が多く含まれる食品を種類別に紹介します。色々な食品を組み合わせて、必要量を摂取できるよう意識しましょう。

海藻類

海藻類は葉酸が多く含まれる食品のうちのひとつです。トッピングなどを活用してみると良いでしょう。

順位 食品名 成分量
100gあたりμg
1 藻類/あまのり/焼きのり 1,900
2 藻類/あまのり/味付けのり 1,600
3 藻類/いわのり/素干し 1,500
4 藻類/かわのり/素干し 1,200
4 藻類/あまのり/ほしのり 1,200

豆類

豆類は取り入れやすい食材のうちのひとつです。小腹が空いたときのおやつやおつまみやとして活用してみるのも良いでしょう。

順位 食品名 成分量
100gあたりμg
1 豆類/だいず/[全粒・全粒製品]/大豆はいが 460
1 豆類/りょくとう/全粒/乾 460
3 豆類/だいず/[その他]/大豆たんぱく/粒状大豆たんぱく 370
4 豆類/だいず/[全粒・全粒製品]/全粒/黒大豆/国産/乾 350
4 豆類/ひよこまめ/全粒/乾 350

野菜類

葉酸が多く含まれる野菜は料理をする上でも使いやすいものが多くあります。ちょっとした一品に活用してみてくださいね。ほうれん草、からし菜、切り干し大根などにも多く含まれています。

順位 食品名 成分量
100gあたりμg
1 野菜類/ブロッコリー/花序/焼き 450
2 野菜類/きく/菊のり 370
3 野菜類/(なばな類)/和種なばな/花らい・茎/生 340
3 野菜類/ブロッコリー/花序/油いため 340
5 野菜類/えだまめ/生 320

果物類

順位 食品名 成分量
100gあたりμg
1 果実類/きはだ/実/乾 230
2 果実類/いちじく/乾 190
3 果実類/(かんきつ類)/すだち/果皮/生 150
4 果実類/いちご/乾 140
5 果実類/うめ/梅漬/調味漬 87

 

効率良く葉酸を摂るコツ

葉酸には、水に溶けやすく熱に弱いという特徴があります。また、「ポリグルタミン酸型」の状態で食品中に含まれているため、吸収されるときには50%程度になってしまうという性質があります。これらの特徴を踏まえて、効率良く摂るためには以下のような工夫をするのがおすすめです。

生で食べる

熱に弱く水溶性であるため、食品からより効率良く摂りたい場合は、生の状態で食べるのがおすすめです。生で食べることができる果物や野菜は、生の状態で食べるとこで葉酸をしっかりと摂ることができます。

しかし、果物や野菜などを生の状態でたくさん摂ると、体を冷やしてしまいます。妊活中の方や妊娠中の方は特に冷え予防が大切です。そのような時には、なるべく水に溶け出さないために電子レンジを使って調理したり、蒸したりするのが良いでしょう。

スープで摂る

加熱処理を行った場合も、溶け出した水分ごと摂ることにより葉酸を摂取することができます。味噌汁やスープなど、汁ごと摂ることができる料理にすると、冷えの心配もなく効率良く摂ることができます。

サプリメントで摂る

最も効率が良い摂り方はサプリメントを活用することです。サプリメントに含まれる葉酸は、吸収されやすい「モノグルタミン酸型」です。そのため、食品から摂るより効率良く吸収されます。

葉酸が多く含まれる食品を気にすることが負担やストレスになる方には、サプリメントの活用が手軽でしょう。また、妊活中の女性や妊娠中の女性は食品と合わせてサプリメントなどからの摂取が推奨されています。

サプリメントから摂る際には、パッケージで摂取量を確認することを忘れないようにしましょう。また、市場に出回っているサプリメントは色々なものがあります。サプリメントは食品という扱いであるため、誰でも許可を得ることができれば作ったり販売することができます。また、サプリメントを作る際に多くの添加物を使用することも少なくありません。

サプリメントを購入する際には、含まれている添加物や内容などを確認して、安心して摂ることができるものか否かチェックするようにしましょう。

 

まとめ

葉酸は、細胞を作る働きをもち、全ての人にとって健康に過ごすためになくてはならない栄養素のうちのひとつです。そして、特に妊活中の方や妊娠中の方においては、厚生労働省からも付加して摂ることが推奨されている栄養素です。自身の健康はもちろん、生まれてくる赤ちゃんのためにも意識して摂るようにしましょう。

また、葉酸を摂取する際には、より効果的に摂ることができるよう、調理法やサプリメントなども活用して、自分にあった方法で継続していきましょう。

 

この記事の監修者

竹内 久美 産婦人科医/ヘルスコーチ

 
サプリ
HCU