2022.03.24

運動

運動が便秘改善に効果的な理由| 自宅で気軽に出来る簡単な運動方法

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宮崎 光史

医師・医学博士/ヘルスコーチ

便秘を改善するために運動が有効だということはよく聞くけど、どんな運動をすれば良いか、どんなタイミングで行ったら良いのかなど、いまいちわからない方は多いと思います。

なぜ運動が便秘解消において必要不可欠なことなのかも、理解しておくのと知らないのとでは、その後のモチベーションも変わってくるでしょう。

そこで今回は、便秘改善に運動が効果的な理由や、自宅や職場でも気軽にできる運動を解説していきます。運動を行ううえでのポイントもご紹介しますので、より効率的に取り組みたい方は最後までご覧ください。

便秘になってしまう意外な3つの原因

便秘を改善する運動の話に入る前に、便秘になる原因について理解しておきましょう。

食生活が偏っている

便秘の原因として多くの人がまず考えるのは、毎日の食事の問題です。便秘を引き起こす根本の原因の一つに、「便の内容物の問題」があり、この問題は、毎日の食事から生まれてくるのです。

食物繊維が不足している食事をしている人は、便量が足りず、スムーズに便が排出されません。また、水分や脂質が不足していることで便がつまってしまい便秘になっている場合もあります。

毎日の食事を見直し、腸に優しく栄養バランスの良い食生活を心がけて欲しいと思います。

運動不足

便秘を引き起こす根本の原因に、「腸管の動きの問題」が挙げられます。腸の動き自体に不調があると、排出したい便はスムーズに流れていかず溜まっていくばかりです。

この腸の動きの不調こそが、運動不足が関係している可能性が高いのです。そのため、便秘の方は運動不足を解消する必要があるのです。

ストレスが溜まっている

便秘の原因は、食べ物や運動不足がメインと考えがちかもしれませんが、実は「ストレス」も便秘にとっては大敵となります。

あなたは、「腸脳相関」という言葉をご存知ですか?腸と脳は、お互い密接に関わりあっているという意味です。例えば、大事な試験やプレゼンの前日の夜に、翌日のことを考えると「お腹の調子が悪くなってきた」というご経験はありませんか?

これは、まさに「腸脳相関」そのもので、頭で感じたストレスが、ダイレクトに腸に伝達されているのです。つまり、腸と脳は密接に関係しあっており、一方の不調は一方にも影響するので、ストレスが溜まっている方はその分、腸の調子も悪くなりやすいということになります。

便秘改善に運動が効果的な理由

では、便秘改善に運動が効果的な理由を詳しく解説していきます。

運動により腸のぜん動運動が促される

運動が腸の不調や便秘に効果的な理由として、運動により腸に物理的刺激がいくという点が挙げられます。運動をすることにより、体は刺激を受けますが、それは腸にとっても例外ではありません。

筋トレなどの運動をした際は、その刺激は腸にもいき、その物理的刺激により少しずつ腸機能は改善されていくのです。筋トレを定期的に行っていくことで、少しずつ体の中の筋肉がつき、さらには腸の中の筋力も鍛えられ腸の動きが活発になり、便秘も改善されていくのです。

便秘に関係している甲状腺機能が改善される

さらに、運動が腸の不調や便秘に効果的な理由として、腸の機能を司る甲状腺機能は運動によって刺激されるという点もあります。

甲状腺機能というと、名前は聞いたことはあっても具体的にどのような役割を果たしている器官なのかイメージ出来ない方も少なくないと思います。甲状腺というのは、体の中の代謝の調整を果たし、体全体に影響を及ぼす大変重要な器官です。

それは腸にとっても同様で、腸の運動も甲状腺ホルモンの働きによって動きがコントロールされているのです。つまり、甲状腺と腸は密接に関わりあっており、甲状腺機能が低下している状態では、腸の機能も正常に働かないのです。

そんな、腸にとって重要な役割を果たす甲状腺を活発にさせるために効果的なのが「運動」なのです。運動をすることは、甲状腺機能を刺激し、腸の機能を活発にさせ便秘を改善するという、体の良い流れを作ってくれます。

自宅や職場で気軽に出来る運動

毎日の中で活用できる、自宅や職場で気軽に出来る運動をご紹介していきたいと思います。

ながら運動

自宅や職場でちょこっと出来た隙間時間で取り組めるのが、以下のような「ながら運動」です。

  • お手洗いに行くために立ったついでに、スクワットをする。
  • 座りっぱなしだと感じたら、片足立ちになりながら椅子から立ち上がる。
  • エレベーターではなく階段を使う。
  • バスや電車をひとつ前で降りて歩く。

毎日の隠れた意外なところに、ながら運動に取り組めるタイミングはたくさんあります。ぜひ、ながら運動が出来るタイミングを意識的に見つけるようにしてみてください。

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すきま時間にできる筋トレ

今まであまり運動をしてこなかったという方は、初心者でも取り組みやすい筋トレを行うと良いでしょう。ご自宅で家事や育児の合間にも取り組みやすいので、すきま時間に3分や5分だけでもトレーニングしてみてください。

  • ジャンピングジャック
  • スクワット
  • 腕立て伏せ
  • 片足立ち

運動は、継続していくことで体に効果が表れてきます。あくまで「マイペースで運動を楽しむこと」が大切なので、無理を感じない範囲内で徐々に運動習慣をつけてほしいと思います。

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運動をする際のポイントと注意点

毎日の運動習慣を身に付けるためのコツや、意識すべきポイントをご紹介していきたいと思います。

毎日数分でも運動をする

運動を行うあたり重要となってくるのは、いかに継続して毎日運動を行っていけるかです。ある日、いくら数時間頑張って運動をしたところで、その後ぱたりと運動をしなくなっては、運動効果は残念ながら期待出来ません。

そのためには、たった3分でも毎日運動を行う習慣をつけることです。朝起きて顔を洗うのと同じように、自然に運動ができる状態になることが理想です。

難しいという方は、日常の動作の中にトレーニングできる器具などを置く工夫をしてみましょう。例えば、洗面台にステッパーを置き、歯を磨くときは嫌でも踏まなければならない状況にするなど。

意志の力でやろうとするのではなく、やらざるを得ない仕組み作りをしてみてください。

運動習慣が身につくカンタンな方法とは?|気軽にできる運動もご紹介

運動のベストタイミングは?

せっかくの運動の効果を最大化するために、ベストタイミングをお伝えしたいと思います。それは、「食事前」です。

なぜかというと、食事をした後は体内の血糖値が上昇し、それを抑えるために「インスリン」というホルモンが分泌されます。このインスリンが分泌されている状態では、せっかく運動しても脂肪が効率的に燃えないため、インスリンが分泌されていない食事前に運動をすることをおすすめしたいのです。

とくに、一晩寝てエネルギーが蓄えられた朝食前の運動が良いでしょう。朝起きたばかりの「副交感神経」が優位になっている状態から30分程経過し体が目覚めてきた頃に、ぜひ運動をしてみてください。

運動以外の便秘改善方法

運動以外に便秘を改善するために出来る、毎日の習慣をご紹介していきたいと思います。

腸に悪い影響を与えるNG食品を避ける

まずは、腸に炎症を与えるNG食品を控えることがファーストステップとして重要になってきます。例えば、使いまわされた悪い油、食品添加物の入った食品などのことです。

食品添加物は腸内環境を悪くするという報告が数多くあり、保存料や殺菌剤は腸内の微生物を殺菌してしまいます。食品の腐敗を防ぐには仕方ないのかもしれませんが、摂取すると腸内の悪玉菌を増やしてしまいます。そのため、防腐剤や合成甘味料、発色剤である亜硝酸ナトリウムを多く使っている食品や総菜は、なるべくなら避けたほうが良いでしょう。

普段何気なく口にしている食品が、意外にも腸に負担を与えているかもしれません。ぜひ、自分の普段の食生活を振り返りながら改善してみてください。

腸にやさしい食事をする

腸にきちんと働いてもらうためにも、腸をいたわるやさしい食事を摂ることが大切です。腸をいたわる食事とは何かと言うと、腸内環境を整えてくれる食品を食べることを指します。

腸のトラブルが起こる原因の一つに、腸内フローラの乱れがあります。腸内フローラとは、腸の中にすむ腸内細菌がお花畑(フローラ)に見えることから呼ばれる言い方です。健康な腸には、腸内細菌である善玉菌や悪玉菌などが一定のバランスを保ちながら存在します。しかし、バランスが乱れ悪玉菌が優勢な状態になると、体全体に悪影響を与えます。

その腸内環境を整えてくれる食品として、食物繊維が豊富な食材やプロバイオティクスやプレバイオティクスを含む食品を摂ることが欠かせないのです。

質の良い睡眠をとる

便秘改善において、食事と運動のほかに重要となってくるのは「睡眠」時にきちんと腸に機能してもらうことです。腸は、副交感神経が優位になっているリラックス時に活発に動くため、私たちが寝ているときにこそ大活躍してくれているのです。

そのため、いかにリラックスして副交感神経を優位にさせた状態で、眠りにつけているかが重要になってくるのです。就寝前に、スマホを見てしまうという方は交感神経が優位になってしまうため、質の良い眠りにつくことができません。

ベッドに入る前には深呼吸をして心を落ち着かせるなど、副交感神経を優位に立たせた状態にしてあげることを意識するようにしましょう。

ストレスをケアする

冒頭で紹介した「腸脳相関」という言葉の通り、腸と脳は密接に関わりあっているため、ストレスは腸の活動を阻害させます。

ストレスは、腸の炎症を引き起こすトリガーにもなるため、普段からストレスを溜めがちな方は自分に合ったストレス発散をして欲しいと思います。

例えば、自然の緑の中を歩いて心を癒したり、エッセンシャルオイルをお風呂にたらすなどのストレス発散方法を見つけて、リフレッシュして過ごしてください。

まとめ

便秘を改善するためには、腸の機能を正常に働かせていくことが大切になってきます。そのためにも、運動習慣を身に着けることは不可欠なのです。毎日数分からでも、運動を楽しみながら無理のないペースで行って欲しいと思います。

そして、食事の改善や睡眠の質向上、ストレスマネジメントにも目を向けていきましょう。

 

この記事の監修者

宮崎 光史 医師・医学博士/ヘルスコーチ

東京医科歯科大学卒、同大学院卒。医師(元消化器外科医、元日本 DMAT医師)・医学博士、ヘルスドクター。クライアントを持つ治 療家支援、法人向け健康指導などを含めた、病院外での健康増進、 病気予防のサポートを行う。

 
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